日常を綴る、想いを残す

カグとダイクと、ときどきズメン

某会社の社長とのお話ですが、地元の建設会社は生き残りを掛けて差別化を図っていく過程で”家具”がキーワードとなるらしく建物の価値や雰囲気、唯一無二の空間創りを構成する要素として重要だということでした。私も同感です。設計やデザインを行うことに於いてやはり造付け家具は、元のコンセプトから外れること無く空間に見合ったデザインを行いますから、とても大切な要素のうちの一つです。

そこでいつも問題になることがあります。価格ですね。家具工事の建築工事費に占める割合は軽視できないくらいに及びますから、金額調整の段階でまず一番にVEに挙げられる項目となってしまいます。

既製品の家具に変更しようか。雰囲気の合う家具を探そうか。お客様にご購入して頂くことでコストダウンしようか。。。そんな流れになることが多くあります。

コスト調整は大事ですから、建築家やビルダーのエゴで造付け家具を推し進めることはございませんが、でもやはりコンセプトから外れてしまうことは施主にとっても少なからずもったいない事柄かと思います。

そこで、私もいつも考えていることを社長も仰っていたのですが、大工さんによる造作でこの問題にメスを入れられれば良いと思っているそうです。

大工さんは柱を建てて梁を掛けてボードを貼って。。。だけではありません。近年ではメーカーの既製品も種類が豊富になり良いものも出回って来出しましたが、本来は大工さんが手作りで内部造作まで行っていました。とっても几帳面に作ってくださいます。私もご年配の大工さんからいろんな事を教わります。木を知り尽くしているから、温かみのある本物の雰囲気を醸し出す術を知っておられます。だから昔は棟梁の手間代も弾んでいましたし、大工に憧れる若者も門をたたくことが多かったそうです。

上で書いたように既製品の取付作業が多くなってしまった昨今、そんな手の込んだ建築はあまり見かけなくなってしまいましたし、若者も少なくなり後継者不足も問題になってきています。既製品を多用した住宅では誰が建てても同じような空間が出来てしまいます。

メリットもたくさんあるのですが、コストダウンを推し進めてきた結果、昨今の住宅事情が自らこんな状況を作ってしまったようにも思えます。

大工さんの手間代が増えれば、良い仕事も出来るようになります。そうなれば、自ずと住宅の魅力UPにつながり、住宅の品質を底上げすることになりますから必然的に更に大工さんにお支払できる手間代が増えることになります。そこに好循環が生まれ差別化を図っていけるというわけですね。

そのためには”家具”をある程度の範囲で大工工事とすれば良いのです。コストも抑えられ、大工さんにお支払出来る手間代は増え、好循環になります。大工さんですからある程度は制作範囲に限界はありますが、我々設計者が細かに図面にて指示を行えば必ずできる範囲は拡大します。そしてココからが一番重要なのですが、その設計図を持って地元ビルダーが「大工さんに依頼する」ことを前向きに捉える必要があります。「家具工事だから家具屋さんに依頼しよ」と単純に考えるのではなく、職人さん等の事も考えて双方が意識を高めあって「良いものをつくるんだ」と士気を上げる工夫が必要なんだと思います。

話は長くなりましたが、良いものも良い価格でご提供するには、一呼吸おいて全体で見つめ直す時期に来ているのではないかと思います。

地元ビルダーだからこそ出来ることがきっとありますから、大手HMの真似をするでなく生き残りを掛けて好循環を生み出す環境を整えなければならないのですね。

私は、大工さんと家具屋さんとを工事範囲を分けてコストダウンに繋げることもありますから今回の社長とのお話は大変興味深く、改めて施主、施工者、設計者がウィンウィンな関係でいられるために必要なお話だったなと思いました。そして何よりこのようなお考えのビルダーがもっと地元に増えてくれるといいなぁと、かなり切実に思いました。

atelier KALLELA -kakiyama-

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