古きは母屋、新しきは離れ、枯山水を眺む

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古き母屋、新しき離れ、枯山水を眺む

お寺の母屋に住まいを増築した案件です。木造で歴史ある母屋は平屋で、ご家族3世代が共に暮らす住空間でした。しかしそこにはプライバシーなるものが存在しておらず、施主の要望は「生活圏を完全に分けること」でした。また、檀家やご住職のための応接室(和室)が必要ですので母屋との動線にも注意することも必要でした。

それらに加え特筆すべきは、「音楽スタジオを併設すること」というご要望です。木造による増築が前提でしたので、木造の躯体の中にもう一つの空間を作り音楽スタジオとしました。施主はプロの音楽家でもあったので一切の妥協はせず、「デットな空間つくり」を目指し計画は進められました。

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音響やスタジオ制作についてはその道のスペシャリストである「株式会社sona」の協力を仰ぎ、施主の希望を具体化していきました。

デザインテイストはお寺という性格上「和空間」をベースに組み上げましたが、それは表向きの構えであり、プライベート空間に関しては「80’sテイストが似合う空間とすること」という裏命題がありました。施主がお持ちだった家具や照明器具の数々はどれも80’dデザインのものであり、パブリックエリアとプライベートエリアでは大きくデザインテイストが異なる極めて珍しいプランニングでした。

出来上がった空間は、レコード類やオーディオ機器類が所狭しと並べられ、統一感のあるインテリアで埋め尽くされています。開放感というよりは狭小スペースを存分に使い切ったという印象の空間です。そのため照明計画は明るすぎず、必要なところのみスポットを当てるよう提案させて頂きました。

それにより、色とりどりで異なる素材の雑貨類が並べられた空間は、明暗のバランスが行き届いたメリハリのある印象を与える空間となっております。

「妙に落ち着く」という感情は、開放感によるものではなく、このようにコンパクトにまとめられた空間でこそ生まれるのだと、認識を改めた案件となりました。

住環境は一切の妥協をすることなく自然素材を余すところなく使用いたしました。外壁にはシラスによる「そとん壁」を使用、内部壁や天井はこちらもシラス塗りを採用しました。フローリングには無垢の板を採用し畳はイ草、そして断熱材にはセルロースファイバーの「デコスドライ工法」を採用しました。 自然環境に包まれた室内空間は、驚くほどの清涼感を感じさせ、グラスウールや壁紙を使用した従来空間の空気とは明らかに異なった住宅となりました。

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