日常を綴る、想いを残す

『ブラックモンブラン』の竹下製菓㈱竹下真由社長のお話を聞いてきました

みなさんこんにちは。アトリエカレラの柿山です。

先日、とあるご縁からブラックモンブランでおなじみの竹下製菓の社長の講演会に招待頂きましたので行ってきました。

竹下製菓㈱という企業

竹下製菓㈱は、みなさんご存知の通り佐賀県に本社を構える老舗のメーカーです。わたしが今回お話をお聞きしたのは5代目の社長「竹下真由」さん。

一時間半に渡って竹下製菓の始まりから現在に至るまでの系譜や、ブラックモンブラン誕生の秘話、そして働きたい・働きがいのある企業を目指してというテーマに沿ってお話をしてくださいました。

竹下社長は3人の子を持つお母さんでもいらっしゃいます。子供をもつ母親という目線から自分にしか出来ない様々な改革を行っていこうという強い意思が感じられる講演会でした。

小さな菓子店からの出発

竹下製菓の歴史は古く、実は正確な創業年は判明していないんだそうです。それらしい記録がなく、初代の社長が書いたと思われる最古のお菓子のレシピの日付が昭和2年だったことから、少なくともそれ以前に起業していたであろうということだそうです。

設立当初は現在の社名とは違い、簡単なお菓子を作って販売していた小さな菓子店だったと言います。それから徐々に工場の規模を広げ、当時珍しかった「株式会社」とします。さらに販路を拡大し九州を飛び出して大阪の方まで行商に行っていました。ですが、実はすぐに倒産してしまった過去があります。

ただでは起き上がらない不屈の精神

しかし、諦めなかった初代社長はまたゼロから起業し、再度徐々に軌道に乗せていきました。何度転んでも、また起き上がる不屈の精神は凄いものを感じます。

ですがまたも危機に見舞われてしまいます。戦争です。

戦争によって一時的に営業ができなくなってしまった時期がありました。やっとの思いで営業が再開できてもお菓子の原材料は手に入らず苦労を強いられました。甘いものと言えば芋なども候補に挙がったそうですが、戦後間もない頃の日本です。貴重な食材をお菓子にするなんてとんでもないということで、目を付けたのはどんぐりだっと言います。どんぐりを潰して発酵させて水飴をつくり販売することにしました。

ブラックモンブラン

それからもいろいろとあったそうですが、路線を製菓から冷菓へ切り替えます。いきなりブラックモンブランが誕生したわけではなく、一般的なキャンディアイスを作っていたそうですが、当時の社長があるとき、実際にモンブラン山の麓から白い雪や氷に覆われた頂を眺めた際に「あの大きな山にチョコレートを掛けたらさぞ美味しんだろうなぁ」と思ったことがきっかけでブラックモンブランの着想を得たそうです。竹下製菓のHPでも読むことが出来ます。

手作業による製造

これにクッキークランチをまぶして、満を持してS.44にブラックモンブランの誕生となるわけですが、当時はブラックモンブランの製造機などありませんから、ふつうのアイスキャンディに手作業でチョコレートを付け、クランチを付け製造していました。 そのせいもあって、一日の製造数はたったの1200本程度だったそうです。それから機械を研究し開発しようやく機械製造が出来るようになります。発売当初はだれも見たことも食べたこともないお菓子ということで、売上が凄いことになっていたそう。 アイディアと情熱は掛け合わさると、スゴイ それを感じさせるエピソードだと思います。

超える商品をつくれ

いまでこそ、ブラックモンブランで有名な竹下製菓ですが、現在でも悩みは尽きないそうです。その中でもモンブランを超える商品が出てこないということが最大の悩みだそうです。

ミルクックやトラキチくんもかなり有名ですが、ブラックモンブランには遠く及ばないんだそう。わたしは子供の頃からミルクックが好きで食べていましたが、モンブランは当時からぶっちぎりだそうです。

新商品を開発しては、翌年には衰退し消えてなくなっていく、そんなことの繰り返しが続きます。

竹下真由社長が就任してからは、竹下製菓の発展に寄与すべく、「あたらしいものをつくってブラックモンブランを超える商品を作るよりも、ブラックモンブランのという最高のコンテンツがあるんだから、それを最大限に利用しない手はないよね」ということで、モンブランをあらゆる方向に展開する戦略を取り始めます。

横へ展開させる

モンブランのパッケージングを保冷剤みたいにデザインしてみたり、ソニー・ミュージックとコラボしてMV(ミュージックビデオ)を作成してみたり、TokyoFMとコラボしてみたり、モンブランのお菓子を作ってみたり、他にもたくさんの新しい試みを行っています。

また、東京や大阪など九州を出た方たちが口を揃えていうことがあります。

「モンブランが食べられない」「九州でしか買えない」「おみやげに買って帰りたいが、アイスなのでムリ」

わたしは九州から出たことがありませんのでわかりませんが、そういうことらしいです。そこで、モンブランの味をそのままに「チョコのお菓子」として販売するようにし、お土産として買うことができるよう開発した新商品があるそうです。その名も「ブラックモンブラン クランチチョコレートバー」

このお菓子は仕掛けがあって、チョコ菓子を口に頬張りバニラアイスを合わせて口に運べば「即席モンブラン」のできあがり! アイディアですね! 試供品を頂きましたが美味しかったです。

選ばれる企業になるために

それらの新しい試みは企業内においても、社員のモチベーションを上げるために役立っていると言います。「あの商品は自分がつくったんだぞ」「お父さんが作ったんだぞ」と言えることは社員のやる気アップにとても効果的だということです。

働きやすい環境を

それだけではなく、冒頭にも書いたように「育児を行う母親だから」という目線から育児に積極的に参加できるような風土を作っていきたいと考えているそうです。女性が働きやすい環境を、そして男性も育児休暇が取りやすい環境をつくっていきたい そのためには社長である自分が声を大にして積極的に社員に育児休暇をとるようにと伝えることが自分の役目だとお話して下さいました。

また、離職者の話を聞くと理由の大半が「未然に防げた理由」だったそうです。上司がもっとはやくに、社員の悩みや問題に真摯に向き合っていれば解決できたのではないか、有能な社員が辞めなくて済んだのではないかと思ったそうです。上司と部下のコミュニケーション不足が招いた結果だったと仰っていました。それからというもの、竹下製菓では近年、社内でのコミュニケーションを率先して行えるよう、部署ごとに予算を割り当て強制的に食事会を開くよう徹底しているんだとか。 その効果も徐々に現れ始め、飲みに行きたがらない若い社員と年の離れた上司が、実は共通の趣味があって話が盛り上がったりだとか、気難しそうな上司が実はとっても優しかったりだとか意外な側面も見えて評判は上々だということです。

魅力的に映る企業へ

自分たちが楽しみながら、「竹下はまた何か新しいことをやり出したゾ」と思われるような企業になること-それが優秀な人材を確保することに繋がるとも仰っていました。最近、九州に縁もゆかりもない新入社員が「楽しそうだから」という理由で入社されたそうです。竹下社長は「こんな田舎の企業に来てくれてとっても嬉しい」と話していました。

子供たちに自信をもって誇れる企業へ

そして竹下社長は最後にこうも仰っていました。

「自分の子供に勧めたい企業でありたい」

みなさん、言っていませんか?

子供には自分と同じ道を歩んでほしくない お父さんの会社ではなく、公務員になりなさい、有名企業に入りなさい

そうではなく、子供に自信をもって勧めたくなるような企業になることが出来れば、それが一番社員にとって働きやすい企業、選ばれる企業になれる- そう締めくくっておられました。

もちろん簡単なことではなく、今現在も問題は山積みで社員からは「何言ってんの」とか思われても仕方ない状況ではあるものの、自分の目標はそこだということでした。

 

若くして5代目社長になられた竹下真由社長ですが、未来へのビジョンをはっきり見据えてそれに向かって悩みながらも新しい挑戦を続け、会社のこと子供のこと、そして何より社員のことを大事にしていこうという気合に満ち溢れた素晴らしい社長でいらっしゃいました。

 

有名な企業ですが、地道な努力を重ねて試行錯誤を繰り返し、時には失敗しながらも乗り越えていく姿がとても印象的なお話でした。わたしとは規模や業態などまったくことなりますが、スピリッツは見習わなければならない-そう思わざるにはいられない素晴らしい講演会でした。

ここまで長い記事を読んでくださったみなさん、ありがとうございました。

アトリエカレラをどうぞよろしくお願いいたします。

 

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