既存住宅のリノベーションを行いました。既存住宅では和室があり長い廊下があり、コンパクトな脱衣室と洗面室などと一般的な間取りの住宅でした。現代では和室の利用はかなり限定的であることが多いような気がしています。施主の希望もあり和室はなくす方向で調整することとしました。廊下をなくし階段を箱階段からスケルトンへ変更し本来和室があった箇所をリビングへ、そしてLDKであった箇所はダイニングキッチンとすることで、広大なLDKを手に入れることが出来ました。
また昨今では家事動線も大きく見直されて来ています。ランドリースペースを設ける事が一般的になり、そのまま衣類収納へ直結する動線が好まれる傾向にあります。洗面スペースは玄関付近へ移動させシンプルな佇まいとすることで雑多な印象になりがちな水回りもインテリアに溶け込むよう配慮しました。そして玄関土間を広く設け玄関収納を拡充しました。
全体を通じてグレージュを基調に統一し、煩雑な印象を裏付ける建具についてもカラーを統一させました。また照明を絞り、時に間接照明で柔らかく対象物を浮かび上がらせることで陰翳の効いたドラマチックな空間を作り上げました。日中は大きな開口部から差し込む日差しを柔らかく室内へ取り込むため、敢えてシアーカーテンを使用し柔らかい印象のインテリアを目指す事としました。
子育て世代が子育てだけでなく、自分たちの暮らしも楽しみたい。自分たちも癒されたい。そんな仕事に趣味に邁進する40代のために設計したリノベーション住宅です。
新築が難しい昨今、リノベーションで叶える夢のカタチが新たに見えたような気がしています。