みなさんこんにちはアトリエカレラの柿山です。
リノベーションの案件も壁や天井の仕上が進み、いよいよ大詰めになってきました。天井や壁には自然素材のシラスを使用しています。左官仕上となりますので、このようにコテにて模様を付けて参ります。
シラスという自然素材
高千穂シラス株式会社のシラスは空気洗浄や吸放湿性に優れており、よりマイルドな室内環境に整えてくれる働きがあります。以下メーカーHPより引用です。
シラスは、マグマの超高温で焼成された高純度無機質セラミック物質であることから、私たちはこれを「マグマセラミック」と呼んでいます。シラスは非晶質の占める割合が60~80%もあることで、他の火山噴出物とは決定的に異なる極めて特異な性質を持っています。非晶質の場合は分子構成が不安定で活性化し、環境によっては触媒反応が起きやすくなることから、消臭・分解、殺菌、イオン化などの機能を発揮すると考えられます。
シラスは非常に細かい微粒子の中に無数の穴が開いた複雑な構造を持っています。シラスの主成分である珪酸は、除湿剤の主原料でもあり、これによってシラス壁には優れた調湿機能があります。また、シラスに含まれるアルミナはガスの吸着性能が高く、シラス粒子中の空洞にニオイや化学物質の分子を吸着します。人工ではつくることができないこの極めて複雑な構造と成分構成は、マグマセラミック物質シラスだからこそ成しえた奇跡というほかありません。
美しく伸びやかな光と柔らかな影
シラス壁は骨材が大きく、材料自体に質量があります。そのため塗り厚を5ミリ程度としなくてはなりません。そのおかげで、壁に奥行きが生まれ厚みがでます。ここで言う厚みとは物理的な厚みではなく、空間に厚みが出るという意味です。人間にも出てくるあの厚みのようなものです。
一般的なクロスと違いこのような左官材は光の反射を抑えてくれますから窓からの光を柔らかく室内へ導いてくれます。これによって出来る柔らかな影がやさしいインテリア空間を形成してくれるのです。クロスでは決して作ることの出来ない特別な空間です。
窓枠に無垢材を起用するという選択
窓枠について、みなさんはどれくらい考えたことがあるでしょうか。窓枠にはサッシと壁などを見切る重要な役割があります。室内から窓の外を見る時に、景色を切り取ってくれるフレームの役割も果たします。
アルミサッシにせよ木製サッシにせよ、窓と室内空間を隔てるこの「窓枠」は緩衝帯である以上、できるだけ柔らかな素材を使用したいと考えています。「柔らかな」というのは「肌触りが柔らかい」というのもそうなのですが、人工物ではない「自然のもの」という意味が強く込められています。
昨今では、MDFという木材のチップを固めて形成した上にシートなどの化粧を施したような窓枠がたくさん出回っています。恐らくみなさんの住宅にもたくさん使われているのではないでしょうか。
たかが窓枠、されど窓枠
この窓枠。たかが窓枠、されど窓枠なのです。この窓枠に無垢材を起用するというちょっとした気遣いで空間の質は2倍にも3倍にも高まります。
確かにMDFのような人工物の方が安価で均一な仕上がりですし、現場の職人の方々の仕事も簡単です。ですが、いくら壁の材料に良いモノを使おうと、天然の石を貼って質感を上げようと、窓に木製サッシを使おうと、この窓枠一本で全てがガラッと変わってしまうのです。いうなれば、この窓枠はインテリアの要だと言えます。逆に言えば、この窓枠にさえ気を遣えばクロスの壁であろうと、グッと質感を高められるのです。
今回はタモ材の板目を中心に使用しました。窓枠は耐久性も求められます。もしかすると急激な冬の寒により窓が結露してしまうかもしれません。ちょっとした拍子に濡れてしまうやもしれません。そのために「保護塗料」を塗布します。今回はリボス社のクノスというものを使用しました。クノスは3分ツヤのクリア仕上げで、美しい木目を活かしながら木が持つ本来の美しさを何倍にも引き上げてくれます。
部分的にでも無垢材や自然素材を使用すると空間の質は高まる
いかがですか。今回は壁や天井の仕上げ材や窓枠関係について記事にしてみました。ご予算は限られていますので、全てにおいて無垢材や自然素材を使用することは難しい場合も多くあります。ですが、例えばリビングなど部分的にでもこういった仕様にすることで、家全体の質感を底上げすることが出来るならば一度検討する余地は十分にあるのではないでしょうか。
現場ではオーダーキッチンの取付工事が進んでいます。バイブレーション仕上げの大きなステンレスの天板は見ごたえがあると思いますので、取り付けが完了したあたりでまたご紹介したいと思います。
ここまで読んで下さったみなさん、本当にありがとうございました。長崎の設計事務所アトリエカレラをどうぞよろしくお願いいたします。リノベーションやリフォームのお問い合わせ心よりお待ちしております。
アトリエカレラ 柿山